「聖石伝説」映画製作の舞台裏 製作期前半

キャラクター造り

 これまでテレビ布袋劇の人形サイズは3尺3(約100センチ)を用いており、後に2尺半(約75センチ)に改良されている。映画の人形はさらに小さく、2尺前後(約61センチ)だ。
 また、スクリーンでの表現をより真に迫ったものにするため、「聖石伝説」の人形は頭から足まで殆どの箇所に改良を施してある。着脱可能な衣装、装飾品、靴…などのほか、髪の部分には、これまでずっとナイロン糸を頭に貼りつけていたのを、本物らしさを出すために本物の人の髪をオーダー。さらに、人形の頭のサイズがそれぞれ違うため、機械での大量生産をするわけに行かず、全てが完全なる手作りのため、コストも人が被るカツラより高価なのだ。スクリーン上の全キャラのさらさらとなびく髪はスタッフがキューティクルトリートメントをした成果の現れ。また、撮影期間に損傷を受けるのを避けるため各キャラにはそれぞれ一般撮影用の文身、アクション用の武身、スタント用の替身が予備として作られている。


特殊設計

 述した改良のほか、最も大きな違いは関節。それぞれの人形の手足の関節は曲げたり回したりでき、指で琴の弦をつまびくことだって出来てしまう!改良を経た人形は腕の回転や大股開きだって思いのまま。映画のヒロイン「剣如冰」が琴を弾くくだりや父の面前に跪くくだりなどはこういった特殊設計が用いられている。
 布袋劇はスクリーンの大小にかかわらず、アクションシーンの素早い動きはカンフー俳優もかくやの出来映え。ただひとつ惜しいのが顔の表情の細部にまでこだわることがなかなか出来ないこと。

  もちろん、布袋劇の伝統――木彫りの頭を用いるのはこのジャンルでは極めて重要な伝統芸術のシンボルともいえるのだが、本作品のディレクター黄強華は徐徐にいくつかの人形の顔に改良を施す試みにより布袋劇の人形がスクリーン上でさらに感情を伝えられるようにしたいと希望、そこで今回悪役「骨皮先生」のキャラを選んで初の試みにトライした。じっくり観察すれば、この人形の顔が特殊シリコンで作られているのがわかるはず。人形が思考すると額も動かせるようになっているのだが、このスペシャルなお顔にはやっかいな問題がひとつ。適温保存をしないと駄目で、万一温度が高すぎようものならすぐに溶けてしまい、文字通りのお化け面になってしまうのだ。もちろんこれは小さな試みだが、今後の布袋劇映画ではさらに素晴らしい効果をあげられるかも。

道具・兵器

1・「聖石」− 天問石.

  天問石、すなわち本作品のテーマ「聖石」。持ち主のどんな願いも叶える替りに、恐ろしい代償を払わなければならない。緑、黄、青の3色があり、鑰の役割をするときは緑、願い事をするときは黄、その他の普通のときは青。






2・「磁
導引」
  関門突破する時の鍵の役目をする「磁 導引」は上下ふたつの部分に分かれており、ふたつを組み合わせた
時に初めてその効力を現す。上部には呪文のような謎の文字が刻まれていて、これがキーワードになっていて、ふたつを組み合わせてほぞに差し込むと、キーワードが正しければ、文字はたちまちまばゆい光を放つ。文字デザインはチベット語と漢語の構造を参考にして昇華させたもので、これによって東洋的なミステリアスな雰囲気をかもし出そうとしたのである。材質は、やはり東洋人の愛する石を主軸にした造りで、表面には綿密な機械の図案を刻んだ。
  物語の中で、非善類は先んじて一組の「磁 導引」を手に入れるが、操作を誤って関門突破に失敗している。

3、 道具・兵器

  映画の中でキャラが使う兵器デザインは、傲笑紅塵の兵器を演劇指導の丁振清氏が手がけた以外は、全て周銘信氏の手によるものである。デザインする上で最も重視したのがキャラの個性。キャラの特性に見合った兵器があって初めて人物と一体感が生まれ、プラス効果が得られるのである。その次に基準にするのが人形のスタイルと衣装の色である。


ッタチルッuェコシC カニッコャケミシCォCカァ、lェコ・jコ@

セットデザイン


 映画の背景は室内スタジオと屋外ロケとに分かれ、映画撮影用に新たに千坪余りの土地を購入、映画撮影スタジオとした。まず先にはじめたのが、深さ・長さともに5尺(約150センチ)の溝掘り作業。これらの溝は人形操作師が中に入って人形を操作したりすれ違ったりするのに使う。陸地平面部分だけでなく、ロケ用の池などにもこの溝が用いられている。

 スタジオ内のセットは、「瑠璃仙境」「鳴剣山荘」「六道輪廻洞」などがあり、設計図完成から実際にセットが組まれるまでの間には2,3ヶ月の雨季が重なり建設が繰り延べになるなどしたため、トータルで10ヶ月もかかっている。

 セットはSFチックな部分とそうでない部分とに分かれている。SFチックな部分としては、非善類の基地と天問石のある密室、そうでない部分としては、瑠璃仙境や鳴剣荘・冷香水・六道輪廻・天脊峰・蒿棘居…。デザイン上、「聖石伝説」が他の一般映画と大きく違うところは比例の違いで、布袋劇世界は人形のサイズに基いているわけなので、比例を転換するためにかなり多くの工夫をこらした。

 布袋劇映画と一般映画の違いは布袋劇では表現力発揮の場が多くあることである。例えば、冷香水と鳴剣山荘ふたつのセットでは、キャラの性格に基いて間取りや屋根部分などに特殊なデザインを施し、背景と人物が一体になるようにした。

 この他、ファンタスティックな造形では、映画が東西混合の中途半端な印象にならないよう、デザインと処理にはことの外こだわった。例を挙げると、非善類基地と天問石密室部分は、西洋的なトラディショナルSFに影響されないよう、オリエンタルな テイスト〜石柱・中国的な刀など〜を加味した。


台詞録音

  一般的な俳優の演じる映画は同時録音やアフレコ方式、アニメーション映画は殆どが撮影終了後声優によりセリフをあててゆくが、「聖石伝説」はふたつの方式を兼用した。
  本作品は撮影前にボイスディレクター黄文擇氏が脚本に沿って全てのキャラのセリフを参考用とし て、BGMまで併せて録音を済ませている。監督・カメラ・人形操作などのスタッフが仕事をするときには必ずセリフ役者の声や感情を聞いた上でストーリーのテンポと人物の演出を把握していたため。監督を始めとする各スタッフが脚本を穴のあくほど読んではいても、セリフと音楽がかもし出す臨場感と雰囲気がないと、テレビ監督は撮影・ 編集・人形操作をほどよく連動させにくいのである。このため、本映画でも、撮影前にセリフを全部吹き込んで、製作期間の撮影がはかどりやすいように計らった。ただもっと完璧を期するため、映画完成後、黄文擇氏が再度録音室入りし、セリフにさらに細かく手を入れた。音入れはこのようにしてやっと完成した。


TOP



© 2001 PILI Multimedia Inc. Terms of Use and Privacy Policy. Advertising inquiries.
Website Produced by E-PILI NETWORKS